中台首脳会談がシンガポールで行われるのに合わせて台北では抗議デモが行われました。台湾と中国の首脳が顔をあわせるのは1949年以来初めてで、歴史的な出来事です。
馬英九政権への不満
台湾総統の馬英九は四年前の選挙で絶対に中国の首脳とは面会しないと力強く公言していたんですが、今回見事に約束を破ってしまいました。
会談が決まった経緯などは全てブラックボックス(黒箱)で総統の独断で交渉が行われました。多くの政治家が直前にニュースでこの事を知ったため、野党からの批判も強まっています。
支持率一桁台でレームダック状態の馬英九への批判は最高潮、鳩山政権末期状態と例えればわかりやすいかもしれません。
現場では「中台会談反対」「台湾の主権は譲れない」「台湾は台湾、中国は中国」「シンガポールから帰ってくるな馬英九」などのシュプレヒコールも響き渡りました。
『貨貿』と民意の隔たり 経民連が抗議
7日午後、経済民主連合など20以上の団体が『貨貿(中台物品貿易協定)』及び馬習会(馬英九と習近平の会談)に対し抗議運動を行い、国民の民意を直視する様に訴えました。
台湾農村陣線 陳平軒 「農業は台湾の根本です。農業に関するいかなる貿易協議も全て反対すべきです。」 貿易協定は中国からの農産加工品を開放するのに加え、自動車、石油化学、液晶パネル、工作機械など4つの分野と台湾の伝統産業も含まれています。
経済部(日本の経産省に相当)は拙速を避けるよう強調していますが、多くの人が懸念しているのは政府に対抗措置がないまま開放だけをする事で本土の産業がダメージを受ける事です。
経民連召集者 賴中強 「中国の輸入品にはある一定の規制がありますが、調印一つで全てが開放されるのです。しかし、経済部の官僚は打撃を受ける産業や皆さんに対し 、この協議の情報を知らせていないのです。」
デモにはシンガポールでの習近平と馬英九による会談に対する抗議もあり、「九二共識」には「一つの中国」だけしかなく「一中各表」が欠けていると主張しています。さらに、馬英九は完全に国を貶めていると抗議者は不満をあらわにしました。
島国前進運動リーダー 林飛帆 「彼(馬英九)は対話の為、習近平と会う為に、一つの中国を認めてしまいました。しかし、これから国際社会で台湾が独立主権国家であると訴える事に大きく矛盾します。」
一連の抗議活動は国民の政府に対する不信感を現しています。如何にして中台経済を保ちながら国家の主権を守るのか。国民の声を政府は受け止めたのでしょうか。
2015年11月13日 台北【記者 李庚霖、張寧倢】(Taiwan Gendai 經政大新聞媒體實驗室授權翻譯)






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