台湾や中国では旧暦の新年を祝うのが一般的ですが、「1月1日はいったい何してるの?」と疑問に思われる方も多いと思います。
「新年快樂」の意味
日本では1月1日の年が明けた時に「あけましておめでとう」と言いますが、中国語では「新年快樂」と挨拶します。これには「良いお年を」という意味も含まれています。
台湾で初めて1月1日を過ごした時の事、多くの台湾人の友人が意外にも「新年快樂」とメッセージを送って来ました。こっちの新年は春節であると理解していたので、これには少しだけびっくりしました。あなた達の新年は春節じゃないの? 1月1日も「新年快樂」でオッケーなの?と疑問に思ったので、大勢の友人に理由を聞いてみました。
返ってくる回答はどれも同じで「1月1日西暦の新年(跨年)で1月末のやつは旧暦の新年(過年)だよ」と当たり前のように言われました。
恥ずかしながら、それまで中国語の「過年」と「跨年」の違いを知りませんでした。日本語に訳すとどちらも「年越し」ですよね。でも、中華圏の国々では新年を2種類に区別しているんです。新年が1つしかない私には少し衝撃でした。
さらに驚いたのが多く台湾人が「1年に2回新年がある」とは意識していなかった事です(中国人の友達もそんな感じでした)
同時に存在する2つの新年
なぜ、1年の中で「新年快樂」を言うの時期が2度も来るのか。そういうもんだからだよ、別に理由なんかないんじゃない?と言われてしまえば、それまでですが、せっかくなんで自分なりに分析しみました。
一番大きな要因は国の制度による影響だと推測されます。かつて、中国全土を統治していた国民党政府は世界の強国と渡り合う為に様々な伝統文化を廃止しようとしました。西洋を見習って、彼らの文化を取り入れる。その一環として暦の変更も検討されました。
国民党の幹部は旧暦が時代遅れの迷信で世界の潮流からかけ離れていると考えていました。そのため、政府は1929年から西暦の新年だけを「公式」な新年と定め、旧暦の新年である春節を廃止すると決定しました。これはかつて日本が1910年に行った旧暦廃止と同じですよね。
しかし、庶民の伝統文化、習慣に対する思い入れは強く、政府が新年を西暦に変更するという政策は成功しませんでした。旧暦新年を消し去りたい政府、伝統的な新年を守りたい庶民。このような二重の状態が長く続いたため、どちらも新年として定着したと考えられます。
もう1つ挙げられる要因として、外国の影響があります。昔は1月1日を盛大に祝う人がそれほどいなかったそうです。春節は伝統的な暦である為、高齢者の方ほど旧暦の行事を重視する傾向にあり、西暦新年を祝う人はそれほど多くありません。逆に若者は西暦の新年である1月1日も祝う人が比較的多くなります。今や1月1日のカウントダウンは世界的な大イベントとなりました。世界中が一緒になって同じ日を祝福する、このような風潮により新年を2度祝うという習慣が生まれたと考えられます。
ちなみに、1月1日には大規模なカウンドダウンイベントがあるんですが、春節の年越しにはこれがありません。
理由は謎です。
台湾の春節はどんな雰囲気?
今年は1月27日が「除夕(大晦日)」で1月28日が「初一(日本の元日)」でした。
1月1日の「跨年」は友人などと一緒にワイワイする人が多いみたいですが、春節の方は基本的に家族や親戚とゆっくり過ごす感じです。聞いたところによると8割の人が実家に帰って家族と過ごすそうですよ。2回も新年が来るなんて本当に羨ましい限りです。
私が春節に対して持っている印象は
「とにかく店がめちゃめちゃしまってるー!」です。
台湾は個人の店がかなり多いんで春節はどこもかしこも休みです。繁華街や夜市とかに行かない限りは基本的にコンビニとかマクドナルドしか食べれません(少なくとも私の家の周りの店はほぼシャッター通り状態でした)かなり多くの飲食店が閉まってるので、開いてる店は結構混みます。
もう1つは花火の音ですね。
多くの人が花火を連日あげてて家からでもめちゃめちゃ音がします(もちろん爆竹もかなりあります)。深夜とかに何発もやられるとさすがにこたえますね。公道の上に打ち上げ花火を設置して打ち上げ人もいました。すごいです..
行って来ました、台湾の初詣
友人に誘われて除夕(大晦日)の夜に「廟」に初詣してきました。今回参拝したのは台北松山市にある慈祐宮、200年以上前に建てられたという廟です。1月1日に101で行われたカウンドダウンイベントに比べれば、全体的にお年を召された方も多かったです。
お賽銭もイージーガードで決済できます。ちゃっかりしてますね。どんどんお金を入れちゃいましょう。
これは夜12時が過ぎて年が明けた時の様子です。スーツを着たお爺さん数名(自治会の長らしき人)が新年のあいさつを言ったあと、みんな一斉に前に集まり「拿香」を所定の場所に刺しにいきます。「拿香」とは線香の事なんですが、こっちの線香はビッグサイズで長さも凄いです。この火をつけたビッグサイズの線香を持った人がぎゅうぎゅうずめになります。僕ももう少しで誰かの火が顔に当たりそうになりました。ちょっと危なかったです。
みなさんも来年はぜひ訪れてみてくだいさいね。
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