韓国や中華圏の国などでは欧米風の名前を持っている人が非常に多いです。
海外生活を経験された方であれば、なぜだろうと疑問に思われた方も多いかと思います。
台湾でもその傾向は顕著で、私の友人も多くが「ジェシカ」「ジョージ」「ミカエル」などのファーストネームを本名とは別に持っています。
日本には存在しないこの文化を今回は分析してみました。
英語教育は形から
英語教育の第一歩は自分の名前を紹介出来るようになる事、これはどこの国でも同じですよね。
日本ではローマ字表を自分の名前の読み仮名と照らし合わせて英語名を決めますが、台湾では全く異なります。英語授業は欧米式の名前をつけることから始めます。
大半の台湾人は学校での英語の授業で初めて英語名を持つ様になるそうです。自分で好きな名前を選んだり、先生が代わりに考えてくれたという人もいます。
強制ではない様ですが、多くの英語教師が第一のステップとしてこの様に生徒に求めるそうです。教師によっては方針も違いますが、目的は英語をより身近に感じてもらえる様にまずは形からという事らしいです。
香港スターの影響
歴史研究によると1950年以前に中国や台湾から欧米へ留学へ行った学生は今とは違い、自分の名前をそのままのアルファベットにして使っていたそうです。
この様な変化が生じた要因に香港の影響があると考えられています。香港がイギリスの植民地だった頃から、香港人はイギリスの国民として欧米式の名前を持ってきました。
当時の香港人は親が英国式の名前をつけるのが一般的でした。これらの名前は公で使用するもので、イギリス時代の身分証明書やパスポートにもその様な名前が印刷されていました。
「ジャッキー・チェン」、「アンディー・ラウ」「ブルース・リー」など、「欧米式の名前がある香港人ってかっこいい」という様な感じで本名とは別に名前を持つのが流行りました。欧米式の名前をもつ香港人が世界で活躍することによって、台湾や中国にもこの様な文化が広がって行ったと考えられます。
外国人に対する気遣い
多くの台湾人になぜ欧米式の名前を名乗るのか尋ねたところ、「外国人は漢字の発音が難しいからわかりやすい名前を使ってあげるの」という様な答えが多かったです。
自分の名前の発音が難しいから別の名前を名乗る、日本人にはあまり理解できませんが、外国人に対する気遣いかなとも考える事ができます。
それに加えて、声調で言葉を区別する中国語をそのままの外国人がアルファベットで読むと聞こえが悪いという意見もあります。外国人に間違えて名前を呼ばれるぐらいならいっそ別の名前にした方がかっこいいという考えです。
公には使わない?
欧米式の名前をつける、それはニックネームをつけるような感覚に近いかもしれません。人によって違いますが、かなり軽い気持ちで英語の名前をつける人が多いです。
以前出会った、台湾人の友人は服を変える様に自分の英語の名前を変えていました。最初出会った時は「メンディー」、しばらくしてから会うと「マーガレット」に変わっていて、名前を覚え直すのがめんどくさいなぁと感じました。
中には職場や学校によって複数の英語名を使い分けているツワモノもいました。しかし、これらの名前は特定の集団内でのみ使用するだけで、公で使う人は多くありません。
台湾人のパスポートには中国語読みのアルファベット名が印刷されていて、「ジョニー」や「キャサリン」の様な名前が戸籍に登録される事は稀です。
政治家などの公人は中国語読みをそのまま名乗っています。例えば、総統の蔡英文 Tsai Ing-wenはそのまま「インウェン」、馬英九 Ma Ying-jeou は「インジョウ」という様にそのままの読み方です。ここら辺は他の国と同じですね。
今まで、当たり前の様に名乗ってきた自分の名前。普通、名前は親から与えられるもので、日本では自分で自分の名前をつける人は多くありません。しかし、中華圏では英語教育を通じて自分の好きなもう1つの名前を手に入れる人が多い。親から貰った名前にあまり満足していない人にとってはこの様な文化もいいかもしれないですね。
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