今回は以前にも紹介した台湾政府の国家発展委員会が運営するネット署名サービス【公共政策網路參與平台】について語ります。
特に今年になってから、台湾のネットですごく話題になっていて、ニュースでも頻繁に取り上げられています。2016年2月にサービスが開始され、一般人が政策提言できるネット請願制度なんです。
開放政府(政府を開放する)
という理念の下に、社会の様々な声を効率よく吸い上げる為に設置されました。政府をネットによって監視、監督するというのも目的の一つですね。
このサービスの責任者を務めるのがこれまたすごい人で、元ハッカーで最年少35歳で入閣した「唐鳳 タンフォン」。16歳でソフトウェアの会社を設立して33歳で引退したらしいです。天才プログラマーですね。
このサービスなんですけど、元々はアメリカのホワイトハウスが運営する【We the People】という請願サービスをお手本にしたらしいです。アメリカの方は10万人の署名が必要らしいですけど、台湾の場合は30日以内で5000人以上の署名が成立要件となっています。
台湾も最初は5千人から始めて、段階的に署名人数を上げていく感じなんですかね。5千人を超えた場合は、国の省庁が政策提言に対して必ず返答をしなければならい決まりになっています。チェンジオーグと違って、ある程度の強制力があるんですよね。
サービスが開始してから、既に110件の署名が通過しています。通過したのは全体の3%程度となっていて、何でもほいほい通る訳でもないみたいです。
では、通過した署名の中で熱い議論が起こったものをいくつか紹介します。
飲酒運転常習犯、強姦などの犯罪に鞭打ちの刑を法制化
最も署名人数が多く、2万7千人以上が署名しました。「鞭打ちかよ」って思うかもしれませんが、マジです。まぁ、これには色々原因があって、先月、飲酒運転の女が猛スピードでバイクに衝突し、男性を即死させるという事件が起こったんですよね。この女、今回で3度目の飲酒運転逮捕だったらしく、これを聞いたネット民は大激怒、台湾の飲酒運転の刑罰は軽すぎる、鞭打ちの刑を導入すべきだとなったわけです。近々、公開討論会を行うらしいので、議論の様子はまた後日紹介したいと思います。まぁ、絶対に法制化されないと思いますけどね。
この他に「中国との時差を1時間ずらす署名」それから「労働基準法の連続勤務日数の改悪を阻止する署名」も盛り上がりました。
中国の国旗、五星紅旗を公共の場で掲げる事を禁止
これも結構話題になりましたね。理由は簡単で中国は台湾を脅し続ける敵国だからです。中国で台湾の旗を振るのはダメなのに、なんで台湾は中国の旗を野放しにしてるの?こっちも禁止にしちゃえーみたいな感じですね。反中国の台湾人の間では盛り上がってましたよ。まぁ、これも実現しないと思いますけど。
小学生の授業時間を9時から15時に変更
全体的に、極端な意見が注目を集めやすい傾向にあるんですけど、私が個人的に実現すんじゃないのかなって思ったのがこれです。台湾の小・中学生って1日の授業時間、めっちゃ長いですよね。日本の小学校だと6時間ぐらいですが、台湾は毎日9.5時間も授業があるらしいです。欧米と比べても異常に長すぎる。台湾って保護者が送り迎えする文化が強いですから共働きの親はかなり反対してますね。でも、この長さは流石に可愛そすぎます。
この他にも
などなど、草の根でどんどこ政策提言が出てきてますね。ネット掲示板とかテレビとかで熱い議論も交わされる様になってきているので、問題提起の装置としては大成功じゃないですかね。
しかし、中にはいたずらでめちゃめちゃな提案が出て来ることもあります。「ケバブは生き物だ!動物虐待だから販売を禁止する」みたいなのが通過しそうになってましたけど、本気か遊びか見分けるのは案外難しいかもしれませんね。アメリカの方ではスターウォーズのデススター建設を政府に求める署名が2万人以上集まったらしいですね。政府の回答は建設費用が莫大な為、不可能だったらしいです。
月に行けるんだったらデススターぐらい作れるでしょ…
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