昨日、かなり大きな政治事件が起こったんで、今日はその事について語ります。本当に朝起きてネットを見たらどこのメディアもこのニュースばっかりでしたね。トップニュースで報道されたのは台湾の政党「新党 」の党員が国家機密漏洩の容疑で身柄を拘束されたという事件です。
新党 New Partyは台湾の中で一番中国共産党と仲がいい、反台湾独立派の急進的な政党ですよね。今回、警察による取り調べを受けたのは、新党の若手党員4人です。彼らは大手メディアのテレビ番組にもよく出演していて超有名な党員だったので、かなりの衝撃でした。
身柄を拘束された中で最も注目を集めたのは、
新党のスポークスマン王炳忠です。
この人、とても面白い人で、どんな人かというと、まぁ中台統一を熱狂的に支持している中国共産党信者みたいな人ですね。
基本理念は反台湾独立、反民進党、反蔡英文、反李登輝、反日本、反時代力量、反ひまわり学生運動、あとは香港雨傘活動が起こった時は民主派の学生たちを批判してましたね。
筋金入りの中国共産党派です。
中国中央テレビCCTVにも度々出演しているので、中国ではかなり人気のある人じゃないですかね。ひたすら民進党への批判を展開するという人ですから、中国のテレビ局にとってはかなり都合のいい存在です。もちろん中国共産党の幹部も彼ら新党との関係を非常に重視しています。あの習近平と握手した際には、とても自慢げな様子でした。
この人、台湾生まれ台湾育ちなのになぜか北京風の巻き舌のアクセントで中国語を話すんですよ。北海道の人が沖縄弁話すみたいな違和感ですね。完全な中国人になりたいという思いから中国のアクセントを真似してるようです。
台湾のネットでは毎回必ずネタになって、思いっきりいじり倒されてる人なんで、昨日の騒動でもネットはお祭り騒ぎでした。
今回、4人の党員は台湾の国家安全法(國安法)という国家機密を守る法律に違反したのではないかという事で取り調べを受けました。全員、中国によく行って中国共産党の幹部と会談してましたから、それに関連した捜査みたいなんです。
具体的には【中国政府の依頼を受けて台湾政府の重要な機密を得ようとした】という疑いでパクられてしまいました。今回の取り調べに関して、新党の政治家は「これは国民党独裁時代と同じ強引な捜査だ、恐ろしい!」と猛反発しています。
国民党独裁時代を台湾では白色恐怖(白色テロ)と呼んでいるんですが、新党の党員は
今回の捜査は民進党による政治迫害「緑色恐怖」だ!
と批判しています。
身柄を拘束するために、警察が王炳忠の家に訪れたのは12月19日早朝6時。家の門で40分間警察と口論した後に、連行されました。なんとその際に彼はFacebookライブを起動させて家の中からずっと警察を撮影してたんですよね。
捜査令状の内容を長い時間かけて説明する台湾警察の様子に「なんて礼儀正しいんだ」という人もいれば、「強引だ!恐ろしい!」という人もいましたね。
今回の一件、ブルーのメディアとグリーンのメディアは反応が真っ二つに分かれてました。ブルー系の評論家の中では「あんな若者が重要な国家機密をもってるわけないでしょう」と言っている人が多かったですね。
まだまだ捜査中なので本当の事は明らかになっていません。新党は最近、中国に自分達の事務所を開設したらしくて、今のところ中国で活動できる唯一の台湾の政党なんですよね。いくらなんでも中国共産党との関係が濃密すぎますよ。今後どんな情報が出てくるのか注目です。
台湾の政党の中核にいる人が国家安全法によって取り調べを受けると言うことはかなり稀なケースなんです。証拠が出て来た場合は新党は壊滅状態になるでしょうし、証拠が出てこなかったとしても政界を分断する重大な政治問題に発展するでしょう。中国のメディアも新党を応援しまくっていたんで、また台湾政府をボロクソに報道するでしょうね。
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