政治

台湾にいる中国工作員は5千人以上?スパイ逮捕と「新党」党員の関係

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今日は「台湾「新党」の党員が中国共産党に情報漏洩の疑いで身柄拘束」のその後についてお話しします。

12月中旬に4名の党員が家宅捜索を受けてから一週間以上が経ちました。取り調べを受けた内の1人、新党スポークスマンの王炳忠はあれからテレビやラジオに出たりと色々な場面で「我々は無実だ」と主張しています。調査機関は引き続き情報収集中ですが、前回の家宅捜索では犯罪を立証する決定的な証拠は出てこなかった様です。

前回の一件で多くの人が不審に感じたのが、家宅捜索の際に王炳忠がとっさに取ったFacebookライブを起動させるという行為。 重要な証拠を持つものに対して捜査が入った事を知らせるためにやったという憶測もあります。確かに、検察官と警官を玄関の前に待たせて40分も時間稼ぎをしていましたから、その間に何らかの形で証拠が隠滅されたと考える事も出来ます。その上、SNSなら同時に多くの人にシグナルを送る事も出来ますよね。

ライブ中継の最中には新党の党首【郁慕明ユー・ムーミン】に電話で状況を伝え、父親にも電話をしています。証拠隠滅を防ぐために、もっと早くドアをこじ開けて捜索を行うべきだったと批判する人もいます。

彼は中国中央テレビに何度も出演しているだけではなく、中国で本も出版しています。

「我是台灣人,更是中國人」

「私は台湾人である以上に中国人でもある」

というタイトルの本です。どんな人が読むのかちょっと興味がありますが、多くのメディアが注目しているのはこの本の出版社です。

彼が本を出した「華文出版社」という会社、実は中国共産党の中央統一戦線工作部が直轄する団体なんです。こんな所から本を出すなんて、それなりの人脈が無ければできませんから、完全にその筋の人です。

今回の案件では王炳忠の父親である「王進步」という人物も調査対象となっていて、中国共産党の情報収集に関わっていたという疑いがかけられています。報道では彼の通帳には500万台湾ドルが海外から振り込まれていたそうです。どこから来たお金かはまだ公開されていませんが、お金を流れを掴まれれば即アウトな人ですね。

前回説明した様に、新党は中国で活動できる唯一の台湾の政党となった訳なんですが

これに対して

「新党は中国と台湾を繋ぐ実質的な窓口になろうとしているのではないか」

という指摘もあります。

中国共産党は民進党政権を敵視していますから、中台の交流には支障が出る事も多々あります。台湾と中国のパイプ役は中国共産党の言う事をしっかり聞く新党にお任せしましょうという事になるかもしれません。新党が上海に設立した事務所も領事館みたいな機関になってしまうのではないでしょうか。

この他に、今回の調査で注目が集まったのは、中国スパイと新党との関係です。中国共産党の工作員は全世界に数多くいますが、台湾の場合はレベルが違います。中国共産党が絶対に成し遂げたいのは台湾自体を制圧する事なので、彼らスパイの仕事も責任重大な訳です。

台湾では中国共産党の工作員、スパイ

「共諜 ゴンディエ」といいます。

今までもかなりの人数の共諜が台湾で逮捕されています。台湾政府の役人の話では、現在5千人以上の中国共産党スパイが台湾にいるのではないかと言われています。




2017年9月には台湾で初の中国人留学生がスパイの容疑で実刑を受けています。中国遼寧省出身の「周泓旭 ジョウ・ホンシュー」は台湾政治大学の大学院に在籍していた時のコネを利用して外交官に情報提供を持ちかけたとされています。

(中国の工作員として実刑判決を受けた周泓旭)

前回、拘束された新党の党員もこの留学生と以前から密接な交友関係がありました。そのため、今回の新党党員に対する捜査も中国工作員に関連する調査という名目で行われています。面白いことに実刑判決がでてもなお「王炳忠」は彼の事を必死にかばい続けています。この2人は共に政治大学在学中に知り合ったと言われています。政治大学といえば、政治家や官僚を養成する為に設立された大学なので、政府の人がたくさんいます。

これは台湾の特徴かもしれませんが、特定の大学に政府の役人やコネクションが集中しているんです。馬英九も李登輝も蔡英文もみんな元々は大学教授ですから、政府の中核にいる人はみんな大学のネットワークで繋がれちゃいます。

私の大学でも政府で働きながら博士の学位をとるクラスメートが結構いましたね。私自身も国会議員の助手を募集してますというお知らせをもらった事があります。印象的だったのが、履修してた外交史の授業の先生が突然入閣してしまい、先生がかわってしまう事もありました。大学教授は政府に出たり入ったりがかなり頻繁な感じがします。大学校内の教授何人か拉致したら簡単に国家機密なんて手に入りそうですけどここら辺は大丈夫なんですかね…

こういう状況から考えると中国共産党の工作員が台湾の大学に潜入する事はかなり重要な事だと言えると思います。国家機密の楽園みたいな所ですからね。これからまだまだ中国留学生のスパイが増えていくと思います。




 

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